KAZUKI YASUO MUSEUM

EXHIBITIONS展覧会情報 2022

再びの―香月泰男作品修復の足跡
 2022年10月19日(水)~2023年2月12日(日)
再びの香月泰男 作品修復の足跡


2020年1月19日、近年修復を行った当館所蔵油彩画を紹介する「蘇 ― 香月泰男作品修復の足跡」展を開幕しました。
しかし、コロナウイルス感染症拡大のため会期の半分にも満たずに閉幕することになり、幻の企画となった展覧会を再現します。
今回紹介する油彩画は1935年から1960年代中頃までに描かれた、香月独自の画風と言われる“シベリヤ様式”が生まれるまでの作品が
大半を占めます。制作年を追って通覧すると、画風の変遷はもとより、画家の興味の対象、筆致、色使いに時代ごとの特徴が見えてきます。
絵画は経年に加え、光、温度、湿度や保存環境など、さまざまな条件が影響し劣化が進みます。一見すると無傷に見える作品も、早急に
修復措置を必要とすることもあり、小さな変化は見逃せません。
美術館は作品を“展示する”ことと“護り・伝える”使命を担っています。今回の展覧会はその両方を知っていただく機会ではないでしょうか。
作品に添えた修復レポートとあわせて、絵画が蘇った過程をご覧ください。

香月泰男 一人の絵かきとして  2022年7月16日(土)~10月10日(月)
同時開催「香月泰男のシベリヤ・シリーズ」

香月泰男 一人の絵かきとして

香月泰男は先の大戦で従軍・抑留を体験しその記憶を描いた作品は代表作"シベリヤ・シリーズ"として広く知られるようになりました。
一方で、香月は復員後の生涯を故郷三隅で過ごし、日常の何気ない情景を数多く描いています。
”私の思考は、いつも結局はシベリヤになってしまう。” と述べているように、香月の目に映る情景の先にはシベリヤの記憶と、過酷な時期
を支えた絵かきとしての目、故郷・家族への想いがありました。
本展では初期から晩年までの作品の中から、香月が穏やかな時の中で描いたモチーフを画家のことばを織り交ぜながら紹介します。

特別展示「香月泰男のシベリヤ・シリーズ」

香月泰男 一人の絵かきとして

香月泰男の代表作”シベリヤ・シリーズ” が完成するまでの過程を検証する本企画の第一回目は、香月が復員した1947年に描いた《雨〈牛〉》を紹介します。
本作は、香月の従軍・抑留体験の記憶を描いた最初の作品でありながら、後に同シリーズに加えられました。
展示では本作、習作のほか、香月が大陸で着想を得たモチーフを漢字で書き記し持ち帰った「絵具箱」を展示し、シベリヤ・シリーズ第一作が描かれた過程を探ります。
―展示作品―
《雨〈牛〉》 1947年 油彩・カンヴァス 山口県立美術館 蔵

香月泰男の植物図鑑Ⅱ
 2022年3月2日(水)~2022年6月5日(日)
香月泰男の植物図鑑Ⅱ


香月泰男(1911-1974)が”ここが<私の>地球”として、生涯を過ごしたふるさと三隅。
自然豊かな、この地に根付いた木々や花々をモチーフに、香月はデッサンや油彩を数多く描きました。
本展はこれらを3つのテーマで紹介します。
1つ目のテーマ”風景の中の植物”が風景画に描かれた植物表現に焦点を当てます。次の”画題に見る花”では、仮に画題がなかったら果たして
主題は何だろう、と考えてしまうような作品を選びました。そして3つ目のテーマは、香月が愛したふるさと三隅に咲く花々を紹介する
”モチーフ天国に咲く花”です。色とりどりの花々から季節を感じるとともに、時代ごとに特徴のある植物の描き方にも注目してご覧ください。